整形外科医として 22 年診療してきて、最も多く受けてきた質問の一つが「腰痛は手術が必要ですか?」です。結論から言うと、慢性腰痛の 99% は手術不要です。本コラムでは、その理由と、手術が必要となる残り 1% の見分け方を解説します。
1. 「腰痛 = ヘルニア = 手術」は誤解
MRI で椎間板ヘルニアが見つかっても、9 割以上は保存療法 (リハビリ + 投薬 + 神経ブロック) で改善します。実は、無症状の方の MRI でもヘルニアは 30% 以上に存在することが分かっており、画像所見と症状は必ずしも一致しません。
2. 99% で有効な治療
- 運動器リハビリ — 腹横筋・多裂筋の強化で背骨の動的安定化
- 投薬 — NSAIDs / 神経障害性疼痛薬 / 筋弛緩薬の組み合わせ
- 神経ブロック注射 — 椎間関節 / 仙腸関節 / 神経根
- 体外衝撃波 (ESWT) — 慢性筋筋膜性疼痛に有効
3. 手術が必要な「1%」の見分け方
以下の症状は緊急手術の適応となる可能性があります。すぐに受診してください。
- 会陰部のしびれ + 排尿排便障害 (馬尾症候群)
- 急速な下肢筋力低下 (足首が上がらないなど)
- 夜間に強くなる安静時痛 (悪性腫瘍の可能性)
- 発熱を伴う持続性腰痛 (脊椎炎の可能性)
腰痛は「治らない病気」ではありません。けれども、適切なリハビリを継続することが何より重要。3 ヶ月続く腰痛は、ぜひ一度ご相談ください。
— 院長 桐山啓介